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大学卒業後に大学院に進学、そして博士号取得後に大学教員に…なれるのか?
少し古いデータですが,上記の図は文部科学省が2011年に出した「博士課程修了者の進路実態に関する調査研究」によるものです。
大学院博士課程(前期2年+後期3年)の修了者のうち,就職者が60.2%,そのうち大学教員になれたのは40.9%なので,全体の約24%が大学教員になれたということになります。
こ,これは厳しいですね。学部で4年,修士課程で2年,博士課程で3年を経てこの結果です。
しかも,大学院はストレートで修了できることの方が珍しいので,博士号が取れるのは30歳を過ぎることもよくあります。
というわけで,もしあなたがいま高校生や学部生で,大学教員を目指しているのであれば,考え直すのも手です(これはホントに)。
それでも覚悟を持って大学院に進学するというのであれば…
大学院生活を戦略的に過ごしましょう
修士課程(博士前期課程)でするべきこと
修士課程の2年間ですべきこと
- 出身者が大学教員に就職した実績のある研究室を選ぶ
- 指導教員に「博士後期課程に進学するつもりです」と宣言する
- 博士課程まで続けられるテーマを選ぶ
- 研究会や学会で発表する
- 査読誌に投稿する(落ちてもよい)
たくさんありますが,上記は知っておいて損はないと思います。
特に上の2つは案外盲点です。もし,あなたが研究者養成大学(いわゆる旧帝大+上位私大)の学部生で卒論ゼミ選択前なら,卒論ゼミの選択の時点で運命のほとんどが決まる可能性があると肝に銘じておきましょう。
自分の大学が研究者養成大学でない場合は,そういう大学院を外部生として受験することになりますが,そもそも研究者養成大学に学部生として在籍していない時点で,かなり大学教員になれる可能性は低いと思ってください。不可能ではありませんが,ゴボウ抜きが必要です。
テーマの選定も博士号にまでつながると思われるものを指導教員とよく相談して決めてください。途中でテーマを変えることは,フルマラソンなら10キロぐらい戻るようなものです。
あと,修士2年の時点で,日本学術振興会特別研究員(DC1)に必ず応募しましょう。お金をもらいながら研究ができるだけでなく,優秀さの客観的証明になります。
博士課程(博士後期課程)でするべきこと
博士課程の3年間(以上)で目指すこと
- 日本学術振興会特別研究員(DC2,PD)に応募する
- 全国レベルもしくは国際学会で発表する(できれば英語で)
- 学会誌に第一著者もしくは単著で論文を複数掲載する
- 科研費のプロジェクトなどに参画する
- 博士論文を何としてでも提出して博士号を取得する
- 大学での非常勤講師をして教育歴をつける
やることたくさんですね…。もちろん上記は文系か理系かでも違いがあります。
大学教員への就職=大学教員公募に参戦するために必要なのは…
- 学位(博士号)
- 業績(査読誌)
- 教育歴(大学非常勤講師)
です(別名,三種の神器)。この3つが揃って,最低ラインのスタート(就職歴5~10%ぐらい?)と思ってください。
論文は理系の場合は共著ですが,基本的に第一著者でないと業績にカウントされないことが多いです。
日本学術振興会特別研究員は,博士課程在学中はDC2,博士課程終了予定者はPDに応募できます。
日本学術振興会特別研究員という大学教員への近道切符
先ほどから紹介している日本学術振興会特別研究員とは,国が税金で研究者のタマゴを養成するという仕組みです。
採用率は20%弱です。しかし,月20~40万円程度の給料がもらえ,特別研究員奨励費という名の研究費も150万円以内の範囲で申請できます。
そして,金銭的なプラスだけではなく,日本学術振興会特別研究員は「国が認めた研究者のタマゴ」として,大学教員への就職でも注目されます。
上記の図のように,常勤の研究職に,PD終了(博士号取得後3年)直後でも66.9%,10年経過後には93.8%が就いています。
冒頭で大学教員就職率24%と書きました。それとは比べものにならない高確率です。
「大学で働く」道は教員だけではありません。大学職員という道も
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